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2012年4月11日 (水)

ツケでこぉた花かんざし(ツケ<月末清算>で買った花かんざし)

満開の桜の花を下から見あげて、
「ほんまに、花かんざしみたいや~」
溜息を洩らしながら、見入ってしまう。

小さな頃、花かんざしを数本持っていた。
髪が長く、普段は祖母に三つ編みにして貰っていたが、お正月には、祖母行きつけの〝髪結いさん〟(=美容院)で、『新日本髪』を結い上げて貰っていた。

「今年は、ほんちょっと桃割れみたいに、ゆうて(結って:ゆって)みたけど。おばあちゃん、どないです?」
必ず、髪結いさんは祖母に確認をとって、
「よぉでけたわ。赤い鹿の子も髪の間から見えて、映えるなぁ。よろし、よろしわ」
と祖母は応えた。

その後、今年用意の花かんざしを前髪部分にそっと挿し入れて、出来上がりだ。

昭和30年代半ば、花かんざしは、年末になると祖父に手を引かれて、町の小さな化粧品や髪飾りなどの小間物を置いている店に買いに行った。
買ってくれることに、正直、喜びはなかった。
というのも、
「ツケ(大阪弁:<大阪ことば事典 牧村史陽 編 講談社学術文庫 より抜粋>月末勘定)にしといてんか」
そういうのが分かっていたからだ。

まだまだ幼い子が、ムスッとした大人びた表情で祖父を見て、
「どうせ、ツケなんやろ」
と言ったことを鮮明に覚えている。
『おじいちゃんやのぉて、おばあちゃんが払うんやろ』
と思うと、申し訳なくて、祖父に笑顔は見せられなかった。

しかしだ。
髪結いさんで、花かんざしを挿して貰った瞬間から、嬉しくて、笑顔は一日中持続した。

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