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2009年7月 5日 (日)

とと様の名ぁとかか様の名ぁ

もう46年前も前の話だ。
1963年(昭和38年)に起こった吉展(よしのぶ)ちゃん事件から、「誘拐も他人事(ひとごと)やない」と祖母は思ったようで、「これ、忘れたらあかんで」と、氏名・住所・父母の名前・電話番号を、5歳の私に繰り返し教えた。
「外でなんぞあったら、覚えたこと、ちゃぁんと誰ぞに言うのやで」と、迷子や誘拐を想定して注意も受けた。

そんな時、必ず出てくるのが人形浄瑠璃の「傾城阿波鳴門(けいせいあわのなると)」の台詞、「あーいー、とと様の名はあわのじゅうろべぇー、かか様の名はおゆみともうしますぅー」だった。
「なっ、あの話でも、そないゆうて、お父ちゃんの名ぁ、お母ちゃんの名ぁをゆうのやさかい、成美かてでけるやろ」と言った。
「うん」と頷いた。
「ほな、覚えたかどうか、一遍、ここでゆうてみ」と祖母が言うので、
「あい、あ~いー、とと様の名はたけお、はは様の名はたえこともうしますぅ~」と調子よく謡うと、側にいた祖父は吹き出した。
祖母は正座の膝も崩さず、真顔で、「所(ところ:住所)からゆうてみ」とやり直しを命じた。
今度は節も付けず、ちゃんと、きちんと言った。
「よろし」と祖母は安堵した表情になった。

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