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2008年8月31日 (日)

幻の“けつねうどん”

45年ほど前、育った町内に、一軒のうどん屋さんがあった。
名前も覚えていないのに、店にあった大きな釜なら直ぐに脳裏に浮かんでくる。
この大釜の湯の中に、瀬戸物の大徳利がいつも入っていた。
大徳利の中身はお出汁。
店では、こうしてお出汁を湯煎で温めていた。

この店の“けつねうどん”は美味しかった。
甘辛く炊いた(=煮た)三角のお揚げさんが一枚入った“けつねうどん”は、早い時間に売り切れた。
そうなると、おばちゃんは「もぉ(もう)、“きざみ”しかないで」とにべも無い。
“きざみうどん”は、味を含ませていないお揚げさんを切った(刻んだ)物が、うどんの上にのっている。
「どないする? きざみでええか?」とおばちゃんは問い直す。
『“けつねうどん”やないといやや』と心では言っているが、口には出せず、「……またにする(今度の機会にする)」と肩を落した。
この日一番の悔しさを味わって、5つのおかっぱ頭の私は、祖父から貰ったうどん代を握りしめて帰った。

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