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2007年6月 7日 (木)

覚えがどうもで、どもならん

地下鉄に乗ったら、横に座る女性が泣き出した。
『どないしたんやろ?』と気になったが、急に声を掛けるの憚られた。
ふと、彼女の膝に目線を落とすと、文庫本が開いていた。
彼女は、一旦本を閉じて、鞄からティッシュを取り出し、真っ赤になった鼻先に白いティッシュを軽く当てた。
途端に再び感動が蘇ってきたか、「ヒック」としゃくり上げて、今度はギュッとティッシュを強く押し当てた。
『治まりはった? うん?どない? 気遣いない(=大丈夫)?』と胸の中で些かドキドキしてしまった。
その後、使ったティッシュを握ったまま、更にハンカチを鞄から取り出し、涙を拭った。

一晩経って、これだけ憶えているのに、彼女の顔全体は思い出せない。
印象すらも思い出せないことに自分でも驚いて、「この頃、覚えがどうも悪うて……」と溜息をついた。
それなのに、丸まったティッシュ・淡いブルーのハンカチ・マニュキュアなしの爪と細い指は鮮明に記憶に残っている。
「どうゆうこっちゃ(=どういうことだろう)」とも、「どもならん(=どうにも仕方がない)」とも思う。

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